札幌高等裁判所 昭和35年(く)21号 決定 1960年12月27日
少年 S(昭一七・五・二四生)
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告理由は抗告人提出の抗告申立書記載のとおりであるからここにこれを引用する。
所論は結局原審の認定した少年の非行は酔余の犯行で悪質でなく、叔父○田○一が父母に代り保護の責に任ずるにより少年に対しては在宅保護の方途を選ぶべきであると強調する。
しかし一件記録により認められる少年の本件非行の動機、態様、少年の性格、非行歴、非行前後の不健全な生活態度に鑑み、かつ少年の家庭環境、殊にその補導能力の劣弱に思を致すときは少年に対しては合理的かつ綜合的な矯正教育を施して性格の矯正、情操の陶冶育成を図り社会生活に対する適応性を涵養する方策を樹てることが極めて緊急事であることが認められ、叔父○田○一による委託保護も少年が貨物自動車の運転手であることより交友調整の効果が期待できず、その雷同性の強い性格より再非行の虞れなしとせず、他に適当な社会資源も見当らない本件においては少年を施設に収容する以外に適策はないと断ぜざるを得ない段階にあることが認められる。
してみれば原審の少年に対する措置はまことに相当であり、これを以て著しく不当であるとなす論旨は採用し難い。
なお一件記録を精査しても原決定を取消さねばならない理由は一もこれを見出し難いので本件抗告はその理由がない。
よつて少年法第三三条第一項少年審判規則第五〇条に従い主文のとおり決定する。